「大手だから安心」はもう古い?2024年度大手チェーン薬局の増収減益の実態と、薬剤師が転職で失敗しないための最新情報をベテラン薬剤師が解説します。
目次
見た目は好調、でも中身は…大手チェーン薬局の隠された実態
「大手チェーン薬局なら安定している」そう思っていませんか?私も薬剤師として12年間、複数の大手薬局で勤務してきましたが、2024年の業界データを見て愕然としました。売上は確かに伸びているのに、実は多くの大手チェーンで営業利益率が悪化しているのです。
この記事では、2024年度の大手ドラッグストア・調剤薬局の売上が軒並み105-110%の増収を記録する一方で、大手調剤薬局チェーンの営業利益率が総じて前年度を下回っているという業界の深刻な現実をお伝えします。
最近、薬局の転職相談で「大手なら安心ですよね?」って聞かれることが多いんだけど、実は要注意なんだよ。

クロ

シロ
えー、そうなの?大手って売上も伸びてるし、安定してそうなのに…何が問題なの?
売上が伸びても、利益が削られてるからね。つまり働く薬剤師にとってはリスクが高まってるということさ。

クロ
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一目でわかる!大手チェーン薬局の増収減益ランキング
企業名 | 2024年売上 | 前年比 | 営業利益の現状 |
---|---|---|---|
ウエルシアHD | 1兆2,173億円 | 106% | 調剤基本料減算の影響大 |
ツルハHD | 1兆274億円 | 105% | 利益率改善努力中も厳しい |
マツキヨココカラ | 1兆225億円 | 107% | 都市部依存でリスク高 |
スギHD | 8,780億円 | 118% | M&Aによる一時的増収 |
※リスク度は薬剤師の就職・転職リスクを5段階で評価
なぜ大手でも減益?薬剤師が知るべき3つの構造的問題
1. 調剤基本料の段階的引き下げが直撃
2018年から大手調剤薬局チェーンに対する調剤基本料の引き下げの流れが続いており、2022年度の調剤報酬改定では、300店以上の大型チェーン薬局は調剤基本料1を算定できなくなったのです。
さらに2024年度調剤報酬改定では地域支援体制加算が一律7点減算されており、大手薬局の収益を直撃しています。
2. 物価高騰で利益率が圧迫
物価上昇の影響により売上増加傾向が落ち着いている状況で、現在も米などの食料品を中心とした値上がりが進んでおり、消費者の節約志向も続いているため、大手でも厳しい状況に追い込まれています。
3. 処方箋単価の継続的な下落
最も深刻なのが、処方箋一枚当たりの調剤医療費が9,392円となり、前年から256円減少し2年連続で前年割れとなったことです。売上は増えても単価が下がれば、当然利益は削られます。
つまり、売上が伸びてるのは店舗数が増えてるからで、1店舗あたりの利益は実は減ってるんだ

クロ

シロ
それって働いてる薬剤師にはどんな影響があるの?
人件費削減、残業増加、昇給停滞…いろいろなしわ寄せが来る可能性が高いね。

クロ
衝撃のデータ:薬局倒産件数が過去最多に
さらに深刻なのが、2024年1-7月の調剤薬局倒産件数が22件(前年同期比266.6%増)で過去最多を更新し、現状ペースで推移すると年間で40件近くの調剤薬局が倒産する見込みだということです。
倒産薬局の共通点
経営が危ない調剤薬局の共通項として、立地に依存している門前薬局や薬局DXに消極的な場合が挙げられています。つまり、大手だからといって安心できない時代になっているのです。
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薬剤師の年収にも影響?大手チェーンの給与実態
大手でも年収に大きな幅
例えば業界最大手のウエルシア薬局でも、年俸は5,176,800円から6,448,800円の範囲となっており、年収をあげるためには入社後の競争に勝つ必要があるのが現実です。
薬剤師平均年収の現状(2024-2025年データ)
- 全国平均:498万3,048円(ジョブメドレー調査)
- 政府統計:577.9万円(前年から5.5万円ダウン)
- 調剤薬局:583.8万円(平均年齢41.6歳)
注目すべきは政府統計で前年から年収が下がっていることです。これは業界全体の利益率悪化が薬剤師の給与にも影響し始めていることを示しています。
転職時に見極めるべき5つのチェックポイント
1. 財務状況の健全性
- 売上だけでなく営業利益率の推移をチェック
- 有価証券報告書で従業員の平均年収を確認
- 調剤基本料の算定状況を確認
2. 店舗戦略の持続可能性
- 無理な新規出店をしていないか
- 既存店舗の収益性はどうか
- M&A による一時的な売上増でないか
3. 人事制度の透明性
- 昇給・昇格の基準が明確か
- 人員配置に無理はないか
- 離職率の公開状況
4. デジタル化への取り組み
- 薬局DXへの投資状況
- オンライン服薬指導の対応
- 業務効率化の取り組み
5. 地域戦略の明確性
- かかりつけ薬局化への取り組み
- 在宅医療への対応状況
- 地域密着度
よくある質問(FAQ)
Q1. 大手チェーン薬局の中でも安全な企業はありますか?
A: 完全に安全な企業はありませんが、在宅医療やかかりつけ薬局機能に積極的で、調剤併設率が高く、無理な出店を控えている企業は相対的にリスクが低いと言えます。具体的には、調剤併設率が75%以上で、営業利益率が前年を維持している企業を選ぶことをおすすめします。
Q2. 今から大手チェーン薬局に転職するのは危険ですか?
A: 危険というよりも、従来以上に慎重な企業選びが必要な時代になったということです。売上の数字だけに惑わされず、財務状況や人事制度、将来戦略をしっかり確認することが重要です。また、複数の転職サイトで情報収集し、実際に働いている薬剤師の声を聞くことをおすすめします。
Q3. 中小薬局の方が安全なのでしょうか?
A: 一概には言えません。2024年上半期の薬局倒産では中堅規模の薬局の倒産も見られ、従業員数「50人以上300人未満」と「300人以上」の倒産も初めて発生しています。大切なのは規模ではなく、経営の健全性と将来戦略の明確性です。
Q4. 転職で年収アップを狙うなら今はどんな職場がおすすめ?
A: 在宅医療に積極的な調剤薬局、管理薬剤師ポジション、地方の調剤薬局などが狙い目です。熊本県では平均年収761万8,400円と突出して高くなっており、薬剤師不足を背景に好条件を提示している地域もあります。
Q5. 大手チェーン薬局で働き続ける場合の対策は?
A: 専門資格の取得、在宅医療スキルの習得、管理職を目指すキャリア設計、複数の転職オプションの確保などが重要です。特に認定薬剤師資格は、かかりつけ薬剤師の要件でもあり、今後ますます重要になります。
転職市場も変化してるから、常に最新情報をキャッチしておくことが大切だよ。

クロ

シロ
なるほど!大手だから安心じゃなくて、しっかり中身を見て判断しなきゃいけないんだね。
まとめ:大手神話を捨てて、賢い転職判断を
2024年度のデータが示すように、大手チェーン薬局でも「増収減益」という厳しい現実に直面しています。大手調剤薬局チェーンに対する報酬は今後も厳しくなる見込みであり、薬剤師の皆さんには従来以上に慎重な転職判断が求められます。
重要なポイント
- 売上の増加に惑わされず、利益率と財務健全性を重視する
- 調剤基本料の算定状況と将来の報酬改定への対応力を確認する
- 在宅医療やかかりつけ薬局機能への取り組み度合いをチェックする
- 人事制度の透明性と働く環境の実態を調査する
結局、どんな規模の企業でも「変化に対応できるか」が生き残りの鍵なんだ。

クロ

シロ
そっか!薬剤師として働く私たちも、常にスキルアップして変化に対応していかないとダメなんだね。
大手だから安心という時代は終わりました。しかし、正しい情報と判断基準があれば、必ずあなたに合った職場を見つけることができます。転職を考えている薬剤師の方は、この記事の内容を参考にして、後悔のない選択をしてくださいね。
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