薬剤師の働きやすさに大きく影響するOTC販売ノルマの実態と対策を解説します。2025年の薬局業界ではOTC市場が拡大傾向にある中、一部の薬局では依然として社員に購入を強いるノルマ文化が残っています。自分の働く環境を見極めるポイントをご紹介します。
目次
はじめに:OTC販売ノルマの薬局勤務への影響
薬剤師として働く上で、「こんな薬局で働きたくない」と感じる要素はいくつかありますが、今回は特に厄介な問題の一つである「OTC販売のノルマがあり、社員が自腹購入を余儀なくされる職場環境」について取り上げます。
私も10年以上薬局で勤務してきた経験から、この問題が薬剤師の働きがいやキャリア形成にどれほど悪影響を及ぼすかを痛感しています。このような環境は残念ながら2025年現在でも、特にチェーン薬局を中心に存在し続けています。
OTC販売のノルマがあって、社員が自分で買わなきゃいけないような薬局って、実は意外と多いんだよね。

クロ

シロ
そんな薬局あるあるなの?
うん、特にチェーン薬局あるあるだと思う。OTCなどの処方箋以外の収入を上げるために、ノルマを課しているところは今でも少なくないんだ。

クロ
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2025年のOTC市場とノルマ文化の実態
OTC市場の最新動向
2025年の日本のOTC医薬品市場は全体で約8,500億円規模に拡大し、そのうちEC(電子商取引)市場は885億円に達すると予測されています。特に健康意識の高まりやセルフメディケーションの推進により、OTC市場は一定の成長を続けています。
項目 | 2020年 | 2025年予測 | 成長率 |
---|---|---|---|
OTC市場全体 | 約8,200億円 | 約8,500億円 | 微増〜横ばい |
OTC-EC市場 | 562億円 | 885億円 | 年平均9.5% |
主要成長分野 | 感染症対策、免疫系 | 健康管理、オンライン販売 | – |
消費者動向 | 受動的購入 | 能動的健康管理 | – |
薬局の課題 | 対面販売の維持 | オンラインとの融合 | – |
ノルマ文化が続く背景
このような市場環境の中、一部の薬局では依然としてノルマ文化が続いています。背景には以下のような要因があります:
- 調剤報酬の減少による薬局経営の圧迫
- 大手チェーンの収益目標達成への圧力
- EC市場との競争激化
- 店舗管理者の評価基準にOTC販売額が含まれる
処方箋だけで収益を出すのがどんどん難しくなってきたから、物販でいけるはずって考えてるんだけど、実はそんなに甘くないんだよね。

クロ

シロ
で、結局ノルマを達成するために勤務する薬剤師が自分で買っているってこと?
そうなんだ。中には月末になると達成できなかった分を社員で分担して買うケースもあるんだよ。

クロ
最も問題のある3つのノルマ形態と実例
薬局におけるOTC販売ノルマには、特に問題視される以下のような形態があります:
1. 個人別強制ノルマ型
個々の薬剤師に対して明確な金額目標が設定され、未達成の場合は給与評価に直結したり、自腹購入を促されたりするパターンです。
実例: 大手チェーンAでは、薬剤師一人当たり月2万円のOTC販売ノルマが課せられ、達成できない場合は店長から「自分で買ってでも達成するように」と指示されるケースが報告されています。
2. 店舗目標連帯責任型
店舗全体での目標が設定され、達成できない場合はスタッフ全員で責任を取るように圧力がかかるパターンです。
実例: 中堅チェーンBでは、店舗に月50万円の物販目標が設定され、月末に達成できない場合、スタッフ全員で不足分を分担して自腹購入するよう暗に求められることがあります。
3. 隠れノルマ型
表向きはノルマではないとしながら、「売上貢献度」として人事評価や賞与査定に大きく影響させるパターンです。
実例: 全国展開するチェーンCでは、公式にはノルマはないと説明しながらも、OTC販売実績が低い薬剤師は賞与査定で大幅に減額されるため、事実上のノルマとなっています。

シロ
ノルマの種類もいろいろあるんだね。どれも結構きついけど、「隠れノルマ型」はなんだか特に嫌だな…
そうだね。表立っては言わないから対処しづらいし、評価に響くのはキャリアにも影響するからね。

クロ
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2025年の薬局業界におけるOTCノルマの変化
法規制とガイドラインの動向
2025年現在、OTC販売に関する直接的な法規制はありませんが、労働環境改善の観点から、一部の地域では薬剤師会がガイドラインを設けるようになっています。また、厚生労働省は薬局機能調査の一環として、薬剤師の労働環境に関する調査項目を追加し、間接的にこの問題への対応を促しています。
特に注目すべきは、2024年に厚生労働省が発表した「薬局における薬剤師の働き方改革推進ガイドライン」において、OTC販売における過度なノルマ設定が薬剤師の専門性発揮を阻害する要因として言及されたことです。
業界内での変化
一方で、業界内での取り組みも始まっています:
- 大手チェーンの一部では、ノルマ文化からの脱却を経営方針に掲げ始めている
- OTC販売を専門とする非薬剤師スタッフを配置する薬局が増加
- EC販売との連携やオムニチャネル戦略の採用
- 患者のヘルスケアニーズに応える専門的なOTC販売アプローチの促進
業界全体でも少しずつ変わりつつあるよ。特に若い薬剤師の採用に苦労している薬局では、無理なノルマを見直す動きも出てきているんだ。

クロ

シロ
そうなんだ!でも、まだまだノルマがある薬局も多いんだよね?
ノルマ文化から身を守るための実践的ポイント
転職・就職活動時のチェックポイント
OTC販売ノルマに関する職場環境を見極めるためのチェックポイントを紹介します:
- 面接時に直接確認する:「OTC販売に関するノルマや目標設定はありますか?」と質問する
- 口コミサイトの活用:薬剤師向け転職サイトの口コミ情報を確認する
- 職場見学の実施:可能であれば実際の職場環境を見学し、スタッフの様子を観察する
- 明確な回答を求める:「目標はあるが強制ではない」などのあいまいな回答には注意が必要
- 給与体系の確認:歩合給部分がある場合、OTC販売実績との関連を確認する
既に働いている薬局での対処法
現在ノルマのある薬局で働いている場合の対処法:
- 同僚との連携:同じ悩みを抱える同僚と協力し、管理者に改善提案をする
- 代替提案:無理なノルマでなく、専門性を活かした健康相談とOTC販売の連携など、より適切な目標設定を提案する
- 転職の検討:改善が見込めない場合は、ノルマのない職場への転職を視野に入れる
- 記録を残す:自腹購入を強制されるなどの行為があった場合は、記録を残しておく
もし心当たりがある場合は、早めに対策を考えたほうがいいよ。

クロ

シロ
チェーン薬局あるあるなら、たくさん心当たりありそうだけど、ノルマへのプレッシャーの強さによって変わってくるんだよね?
そうだね。正直、職員に売って誤魔化している状態は根本的解決ではないし、あまり望ましい風習じゃないからね。

クロ
よくある質問(FAQ)
OTC販売ノルマは法的に問題ないのですか?
労働基準法上、強制的な自腹購入を命じることは「賃金全額払いの原則」に反する可能性があります。また、購入を断ると不利益な扱いをされる場合は、パワーハラスメントに該当する可能性もあります。法的に問題になりうる行為であり、相談窓口や労働基準監督署への相談も検討すべきでしょう。
OTC販売のノルマがない薬局を見つけるにはどうすればよいですか?
一般的に、個人経営の薬局やクリニック併設の薬局は比較的ノルマが少ない傾向があります。転職エージェントに「OTC販売のノルマがないことを重視している」と伝えるのも効果的です。また、働きやすさに定評のある薬局を探すなら、口コミサイトやSNSでの情報収集も役立ちます。
管理薬剤師としてノルマ文化を改善するには?
管理薬剤師として店舗のノルマ文化を改善するためには、まず数値目標ではなく患者サービスの質に重点を置いた評価システムを提案しましょう。また、OTC販売は薬剤師の専門的アドバイスが価値を生むことを上層部に理解してもらい、無理な販売よりも適切な健康相談サービスを通じた販売が長期的に信頼と売上につながることを示すことが重要です。
薬学生の実習先としてOTCノルマのある薬局は避けるべきですか?
必ずしも避ける必要はありませんが、実習期間中にノルマの達成を求められたり、不適切な販売方法を指導されたりする可能性がある場合は注意が必要です。実習先を選ぶ際は、先輩薬剤師からの情報収集や大学の実習担当教員に相談するとよいでしょう。
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まとめ:OTC販売ノルマから考える薬剤師のキャリア戦略
OTC販売のノルマが厳しく、社員が自ら購入せざるを得ない環境は、薬剤師としての専門性を活かせないだけでなく、モチベーションや職場満足度にも大きく影響します。2025年の現在も、特に大手チェーン薬局では依然としてこの問題が存在していますが、業界全体としては少しずつ改善の兆しも見えてきています。
そんな環境で働いたところでいいことなんかないからね。

クロ

シロ
ちなみに組織上の問題だったら、どうすべきかな?
チェーン薬局の幹部は、そんなことしても意味がないことを分かっていると思うけど、もし本当にそうなら、いつでも逃げ出せる余裕を見つけておいたほうがいいと思う。

クロ
職場選びは薬剤師としてのキャリア形成に大きく影響します。OTC販売ノルマのある職場環境に疑問を感じたら、自分のキャリアビジョンを見つめ直し、必要であれば転職を検討することも大切です。いよいよヤバイと感じてから転職活動を始めるよりも、心にいくらかの余裕があり、周りを落ち着いて見れるタイミングで転職活動をすることをお勧めします。
転職活動を実施したからといって、必ずしも転職をしなければならないわけではありません。自分の視野を広げるために、転職活動をするというのも一つの選択肢です。患者さんのために薬の専門家として働きたい薬剤師にとって、その能力を最大限に発揮できる環境を選ぶことは、長期的なキャリア構築において非常に重要なのです。