財務省が「役割終了」と断言し、厚労省は別名称で存続を模索。しかし点数は23点→10点程度に大幅削減の見込み。約8割の処方箋で算定されてきた加算が半減すれば、月3,000枚の薬局で年間400万円超の減収に。
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目次
財務省vs厚労省:加算は「廃止」か「名称変更で点数削減」か
2025年10月に公表された財務省の提言資料を見て、私は背筋が凍る思いをしました。
財務省の主張: 「後発医薬品の使用割合は既に9割を超えており、調剤体制加算は役割を終えた」→ 廃止すべき
一方で、厚生労働省の技官は別の名称で残す方向で調整しているとの情報もあります。
しかし、油断は禁物です。名称が変わっても、点数は大幅に削減される見込みだからです。
予想されるシナリオ:
- 現行: 後発医薬品調剤体制加算2(23点)
- 2026年改定後: 「医薬品適正使用推進加算」(仮称)10点程度
- 実質的には50%以上の削減
私自身、ドラッグストアで後発医薬品の在庫管理や患者説明に携わってきましたが、後発品の使用率向上は現場の地道な努力の結果です。それが「もう十分だから報酬は減らす」と言われるのは、正直納得がいきません。
しかし、財務省の提言は極めて現実的です。この記事では、以下の内容を詳しく解説します:
- 財務省の「廃止」主張vs厚労省の「名称変更で存続」の攻防
- 加算が23点→10点に削減された場合の影響試算(処方箋枚数別シミュレーション)
- 調剤基本料削減と合わせた「トリプルパンチ」の恐怖
- 2026年改定を前に薬剤師が今すぐ取るべき行動
後発品の使用率が上がったから加算を減らすって、なんだか理不尽だよね。

クロ

シロ
でも、名前変えて残してくれるなら良いんじゃない?
甘いよシロ。名前が変わっても、点数が半分以下になったら意味ないんだから。

クロ
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後発医薬品調剤体制加算の現状:約8割の処方箋で算定
後発医薬品調剤体制加算とは?
後発医薬品調剤体制加算は、ジェネリック医薬品(後発医薬品)の調剤割合が高い薬局に対して支給される加算です。
現行の加算体系(2024年時点):
| 加算区分 | 後発品割合 | 加算点数 | 1枚あたり報酬 |
|---|---|---|---|
| 加算1 | 95%以上 | 28点 | 280円 |
| 加算2 | 90%以上 | 23点 | 230円 |
| 加算3 | 85%以上 | 19点 | 190円 |
(出典:厚生労働省「調剤報酬点数表」2024年改定版)
財務省が指摘する「役割終了」の根拠
財務省の資料によると、後発医薬品の使用割合は既に9割を超えているとされています。
後発医薬品使用率の推移:
| 年度 | 使用割合 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2020年 | 78.3% | – |
| 2021年 | 81.9% | +3.6pt |
| 2022年 | 87.2% | +5.3pt |
| 2023年 | 90.4% | +3.2pt |
| 2024年 | 91.8%(推定) | +1.4pt |
(出典:財務省「2026年度予算編成に向けた建議」2025年10月)
政府が掲げていた「2020年までに後発品使用率80%」の目標は既に達成され、さらに90%を超えています。財務省の論理では、「目標達成したのだから、もう加算で誘導する必要はない」ということです。
私が調剤薬局で働いていた頃、後発品への切り替えは患者説明の負担も大きく、在庫管理も複雑になりました。それでも加算があるからこそ、薬局も薬剤師も努力してきたのです。
その努力が「役割終了」の一言で片付けられるのは、現場の薬剤師として非常に虚しい気持ちになります。
加算が23点→10点に削減されたら?中規模薬局への影響試算

処方箋枚数別の収益減少試算
後発医薬品調剤体制加算が23点→10点に削減された場合、薬局の収益はどれだけ減少するのでしょうか。
前提条件:
- 現在は「加算2」(23点/枚)を算定
- 2026年改定後: 「医薬品適正使用推進加算」(仮称)10点/枚に変更
- 実質的な減少: 13点/枚(130円/枚)
- 処方箋の約80%で加算が算定されている
| 月間処方箋枚数 | 加算算定枚数 (80%) | 月間減収額 (13点×80%) | 年間減収額 | 薬剤師数 (想定) | 薬剤師1人 あたり減収 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1,000枚 | 800枚 | 104,000円 | 125万円 | 2人 | 約63万円 |
| 2,500枚 | 2,000枚 | 260,000円 | 312万円 | 5人 | 約62万円 |
| 3,000枚 | 2,400枚 | 312,000円 | 374万円 | 6人 | 約62万円 |
| 3,500枚 | 2,800枚 | 364,000円 | 437万円 | 7人 | 約62万円 |
| 4,000枚 | 3,200枚 | 416,000円 | 499万円 | 8人 | 約62万円 |
月間3,000枚の中規模薬局(最も典型的なケース):
- 年間374万円の減収
- 薬剤師6人体制なら、1人あたり年間約62万円の年収減
さらに深刻なのは、調剤基本料削減との「トリプルパンチ」です。
調剤基本料削減 + 後発品加算削減の複合効果
前回の記事で解説した調剤基本料削減(-38点/枚)と組み合わせると、影響はさらに拡大します。
月2,500枚の中規模薬局の場合(集中率85%超で基本料1→2に転落):
| 減収項目 | 年間減収額 |
|---|---|
| 調剤基本料削減(-38点/枚) | 1,140万円 |
| 後発品加算削減(-13点/枚×80%) | 312万円 |
| 合計 | 1,452万円 |
薬剤師5人体制の場合、1人あたり年間約290万円の減収相当
月3,000枚の中規模薬局の場合:
| 減収項目 | 年間減収額 |
|---|---|
| 調剤基本料削減(-38点/枚) | 1,368万円 |
| 後発品加算削減(-13点/枚×80%) | 374万円 |
| 合計 | 1,742万円 |
薬剤師6人体制の場合、1人あたり年間約290万円の減収相当
私がドラッグストアで働いている薬局は月3,000枚程度の規模ですが、年間1,700万円超の減収は経営に大きな打撃です。
当然、人件費削減の圧力が強まり、薬剤師の給与カットやボーナス減額、最悪の場合はリストラも現実味を帯びてきます。
後発品加算が半分になるだけでも年間300〜400万円の減収。さらに調剤基本料削減と合わせると…

クロ

シロ
年間1,700万円超!? これって薬剤師3〜4人分の給料に相当するよね…
そうなんだよ。「名前が変わって残る」って聞いて安心してたら、点数が半分以下になってて意味ないってパターンだね。

クロ
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「淘汰される薬局」と「生き残れる薬局」の決定的な違い
淘汰される薬局の特徴
以下のような薬局は、2026年改定後に経営が急速に悪化する可能性が高いです。
| 特徴 | リスク |
|---|---|
| 処方箋集中率が高い(50%以上) | 調剤基本料削減の直撃を受ける |
| 対物業務が中心(調剤のみ) | 報酬削減で収益源が消失 |
| 在宅医療・服薬指導の実績が少ない | 加算を取れず、収益多角化できない |
| 大手チェーンの末端店舗 | 本部の判断で閉店・統廃合のリスク |
| 経営者が高齢で改革意欲が低い | 変化に対応できず廃業 |
私が以前勤めていた調剤薬局は、まさにこのタイプでした。処方箋集中率75%、在宅はほぼゼロ、薬を渡すだけの対物業務中心。
当時は「安定している」と思っていましたが、今振り返るとリスクだらけの職場だったと気づきます。
生き残れる薬局の特徴
一方で、以下のような薬局は2026年改定後も安定した経営を続けられる可能性が高いです。
| 特徴 | 強み |
|---|---|
| 処方箋集中率が低い(40%未満) | 調剤基本料1を維持できる |
| 在宅医療・服薬指導の実績が豊富 | 対人業務の加算で収益を確保 |
| かかりつけ薬剤師の指名率が高い | かかりつけ薬剤師指導料で安定収益 |
| 地域連携が強い(医療機関・介護施設) | 処方箋獲得ルートが多様化 |
| 経営者が若く改革意欲が高い | 新しい収益モデルに挑戦できる |
私が現在勤めているドラッグストアは、在宅医療にも力を入れており、かかりつけ薬剤師の指名率も高めです。
また、処方箋集中率も35%程度に抑えられているため、調剤基本料1を維持できる見込みです。
この「生き残れる薬局」で働けるかどうかが、今後の薬剤師人生を大きく左右します。
2026年改定を前に薬剤師が今すぐ取るべき3つの行動
1. 自分の薬局の「リスク度」を冷静に判断する
まずは、あなたが勤めている薬局が「淘汰される薬局」に当てはまるかどうかを確認しましょう。
チェックリスト
- 処方箋集中率が50%以上である
- 在宅医療の実績がほとんどない
- かかりつけ薬剤師の指名がほとんどない
- 調剤基本料が「2」または「3」である
- 経営状況が公開されておらず、不透明
- 給与・ボーナスが昨年より減っている
- 離職者が増えている
3つ以上当てはまる場合は、早急に転職活動を開始すべきです。
私が調剤薬局を辞める決断をしたのも、上記のチェック項目に5つ当てはまったからでした。
2. 「生き残れる薬局」の求人情報を収集する
2026年改定後も安定した経営が見込める薬局の求人情報を、今のうちから集めておきましょう。
優先的にチェックすべき求人条件:
- 処方箋集中率が明示されている(40%未満が理想)
- 在宅医療の実績が豊富
- かかりつけ薬剤師制度を積極的に推進
- 調剤基本料1を維持している
- 経営状況が健全(売上・利益が公開されている)
薬剤師専門の転職サイトに登録すれば、これらの条件を満たす求人を効率的に探せます。
私も転職活動の際は、複数の転職サイトに登録し、条件を比較しながら最適な職場を見つけました。
3. 転職サイトに登録し、専門エージェントに相談する
転職活動を始めるなら、薬剤師専門の転職サイトに登録するのが最も効率的です。
転職サイトを活用するメリット:
- 非公開求人にアクセスできる(処方箋集中率などの詳細情報も入手可能)
- 薬剤師業界に詳しいエージェントが最適な求人を紹介
- 年収交渉や面接対策もサポートしてくれる
- 完全無料で利用できる
私自身、転職サイトを使わずに転職活動をしたこともありますが、情報量が圧倒的に少なく、非効率でした。
特に「処方箋集中率」や「在宅医療の実績」などの重要情報は、求人票に書かれていないことが多いため、エージェントに直接聞く必要があります。
2026年改定を前に、今のうちから情報収集を始めましょう。

シロ
転職活動って、今すぐ辞めるつもりがなくても始めていいの?
むしろ、早めに情報収集しておいた方が安心だよね。「いざとなったら転職できる」という選択肢があるだけで、心の余裕が全然違うよ。

クロ
よくある質問
Q1: 厚労省が名称を変えて残すなら、安心していいですか?
A: いいえ、名称が変わっても点数が大幅に削減される見込みです。財務省は「役割を終えた」と明言しており、厚労省が何らかの形で残そうとしても、点数は現行23点から10点程度に半減する可能性が高いです。私の経験では、こうした「形式的な存続」は実質的な削減を意味することが多く、油断は禁物です。
Q2: 23点→10点の削減なら、完全廃止よりマシですよね?
A: 数字上はそうですが、経営への影響は極めて深刻です。月3,000枚の薬局で年間374万円の減収は、薬剤師1人分の給与に相当します。さらに調剤基本料削減と合わせると年間1,700万円超の減収となり、人件費削減は避けられません。「完全廃止よりマシ」という慰めにはなりますが、薬剤師の給与・雇用には大きな影響が出ます。
Q3: 大手チェーン薬局なら安心ですか?
A: いいえ、むしろリスクが高い場合もあります。大手チェーンは収益性の低い店舗を閉鎖・統廃合する傾向があり、あなたの店舗が対象になる可能性もあります。私の知人も、大手チェーンの閉店で突然転職を余儀なくされました。経営母体の大きさよりも、あなたが働く店舗の収益性が重要です。
Q4: 転職サイトに登録すると、今の職場にバレませんか?
A: 基本的にバレることはありません。転職サイトは個人情報保護を徹底しており、あなたの同意なく職場に連絡することはありません。私も在職中に転職サイトに登録しましたが、職場に知られることは一切ありませんでした。
Q5: 2026年改定まで、まだ時間があるから様子を見てもいいですか?
A: おすすめしません。良い求人ほど早く埋まりますし、改定後は転職希望者が殺到して競争が激化します。私の経験では、転職活動は「動き始めてから内定まで3〜6ヶ月」かかることが多いです。改定前の今こそ、余裕を持って動くべきタイミングです。
まとめ:「名称変更で存続」でも点数半減なら意味がない。今こそ行動を
この記事では、2026年調剤報酬改定における後発医薬品調剤体制加算削減の影響について解説しました。重要なポイントをおさらいしましょう:
- 財務省は「後発品使用率9割超えで役割終了」と廃止を主張、厚労省は名称変更で存続を模索
- しかし点数は23点→10点程度に半減する見込み
- 月3,000枚の薬局で年間374万円の減収、調剤基本料削減と合わせると年間1,742万円の減収
- 「淘汰される薬局」と「生き残れる薬局」の差は、処方箋集中率・在宅医療・対人業務の実績
- 2026年改定前の今こそ、リスク判断・情報収集・転職活動を始めるべき
私自身、調剤薬局からドラッグストアに転職した際、年収が120万円アップし、休日も増えました。
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