年収680万と620万、どちらが良い条件?実は年収だけでは判断できません。薬剤師白書2023最新データを基に、時給換算・福利厚生を含めた正しい職場比較方法を現役薬剤師が解説します。
目次
薬剤師の年収比較で見落としがちな「隠れコスト」とは?
薬剤師として10年以上働いてきた私も、以前は年収の数字だけを見て「あの人は年収680万もらっていて羨ましい」と単純に考えていました。しかし、実際に転職を経験し、労働条件を詳しく分析してみると、年収だけでは見えない重要な要素がたくさんあることに気づいたのです。
薬剤師の転職って、年収の数字だけ見て判断しちゃダメなんだよね。実は隠れたコストがたくさんあるんだ!

クロ

シロ
えー、そうなの?年収が高い方が良いに決まってるじゃん!何が違うの?
マイナビ薬剤師の「薬剤師白書2023年度版」によると、薬剤師の転職時に重視する条件として、給与条件を挙げる人は75.5%と最も多いものの、実際には勤務時間・勤務体系(66.7%)や休日・休暇(63.8%)も同じくらい重要視されています。
つまり、年収だけでなく「どれだけ働いてその年収を得ているか」「どんな労働環境でその年収を得ているか」を総合的に判断する必要があるのです。
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【最新データ分析】薬剤師白書から見る年収の実態
薬剤師の年収分布と満足度の現実
薬剤師白書2023年度版(調査期間:2023年9月〜12月、有効回答数624件)の最新データによると、薬剤師の年収分布は以下のようになっています:
年収帯 | 割合 | 特徴 |
---|---|---|
500万~549万円 | 15.4%(最多) | 最も多い年収帯 |
600万~699万円 | 12.9% | 経験年数5-10年の目安 |
400万~424万円 | 7.9% | 新卒~3年目に多い |
年収500万円以上 | 48.7% | 全体の約半数 |
注目すべきは給与満足度です。55.6%の薬剤師が現在の給与に満足していると回答している一方、年収だけを見ると「もっと欲しい」と感じる人も多いでしょう。
年代別年収の実態と労働時間の関係
同調査では、年代別の年収分布も明らかになっています:
- 20代: 400万~549万円が中心(500万~549万円が23.5%で最多)
- 30代: 500万~699万円にシフト
- 40代: 600万~699万円が21.8%と高い
- 50代: 700万円以上が22%(管理職・専門職が増加)
しかし重要なのは、年収の高さと労働時間は必ずしも比例しないということです。
時給換算で見えてくる職場の「本当の価値」
実際の計算例:年収680万vs620万の真実
薬剤師白書のデータを参考に、より現実的な例で比較してみましょう。
薬剤師A(調剤薬局勤務)
- 年収:620万円
- 月間残業時間:5時間未満(調査では24.9%が該当)
- 週5日勤務(土日祝休み)
- 年間労働日数:245日
- 実働時間:245日×8時間+5時間×12ヶ月=2,020時間
- 時給換算:3,069円
薬剤師B(ドラッグストア勤務)
- 年収:680万円
- 月間残業時間:20時間(調査では8.8%が該当)
- 週5日勤務+月2回土曜出勤
- 年間労働日数:269日
- 実働時間:269日×8時間+20時間×12ヶ月=2,392時間
- 時給換算:2,843円
計算してみると、年収の低いAさんの方が時給が高いんだね!これが隠れコストってやつだ。

クロ

シロ
本当だ!年収だけ見てたら絶対にBさんの方が良いと思っちゃう…
サービス残業も考慮した実質時給
薬剤師白書によると、49.6%の薬剤師がサービス残業を経験しており、その時間は月平均5時間未満が27.3%と最も多くなっています。
サービス残業月10時間があった場合の薬剤師Bの実質時給: 680万円÷(2,392時間+10時間×12ヶ月)=2,751円
さらに時給が下がることがわかります。
年収以外で差がつく「見えない給与」完全ガイド
1. 確定拠出年金・退職金制度
企業型確定拠出年金の価値
- 月額拠出額:1万円〜3万円(企業により異なる)
- 一般的な相場:月2万円程度
- 年間価値:24万円相当
- 税制優遇も含めると実質価値はさらに高い
私の知る限り、大手調剤薬局チェーンでは月2万円、中小薬局では月1万円〜1.5万円程度の拠出が一般的です。月2万円の拠出がある職場は、年間24万円の「見えない年収」があると考えることができます。
2. 有給休暇取得率の金銭価値
薬剤師白書によると、有給休暇の取得状況は大きく分かれます:
取得状況 | 割合 | 年間損失額(時給3,000円計算) |
---|---|---|
希望通り取得(15-20日) | 68.2% | 損失なし |
あまり取得できない(5-9日) | 33.4% | 24万円〜36万円の損失 |
ほとんど取得できない(0-4日) | 6.1% | 48万円〜60万円の損失 |
20日の有給休暇を完全取得できる職場は、実質年収が48万円高いと考えることができます。
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3. 研修・資格取得支援の価値
認定薬剤師更新にかかる費用
- 研修受講料:年間5万円〜10万円
- 学会参加費:年間3万円〜8万円
- 資格維持費:年間1万円〜3万円
- 年間合計:9万円〜21万円
これらを会社が負担してくれる場合、実質的な年収アップと同等の価値があります。
4. その他の福利厚生
住宅手当・家賃補助
- 月額1万円〜5万円(年間12万円〜60万円相当)
交通費支給
- 月額5,000円〜2万円(年間6万円〜24万円相当)
健康診断・人間ドック
- 年間2万円〜10万円相当
職場別・地域別の労働条件比較表
職場別の労働環境実態
薬剤師白書のデータを基に、職場別の特徴をまとめました:
職場タイプ | 平均年収帯 | 残業の特徴 | 有給取得しやすさ | 福利厚生 |
---|---|---|---|---|
調剤薬局(大手) | 550万〜650万 | 比較的少ない | ○ | 充実 |
調剤薬局(中小) | 500万〜600万 | 店舗により差大 | △ | 限定的 |
病院(公立) | 450万〜550万 | 当直あり | ○ | 手厚い |
病院(民間) | 500万〜650万 | 残業多め | △ | 普通 |
ドラッグストア | 600万〜750万 | 店舗運営業務あり | △ | 企業により差 |
製薬企業 | 700万〜1000万 | 職種により差 | ○ | 非常に充実 |
地域格差の実態
首都圏の特徴
- 年収水準:全国平均+50万円〜100万円
- 住宅費負担:月5万円〜15万円増
- 通勤時間:片道1時間超が多い
地方の特徴
- 年収水準:首都圏比▲50万円〜100万円
- 住宅費負担:月2万円〜8万円程度
- 通勤時間:片道30分以内が多い
実質的な手取りや生活の質を考えると、地方勤務の方が有利な場合も多くあります。
転職で年収アップを実現した薬剤師の成功パターン
パターン1:時給重視で転職成功したケース
30代女性薬剤師・Cさんの事例
- 転職前: 病院勤務・年収480万円・残業月30時間・時給2,500円
- 転職後: 調剤薬局・年収520万円・残業月5時間・時給2,890円
- 成果: 年収40万円アップ+時給390円アップ+プライベート時間確保
Cさんは転職サイトのコンサルタントと時給計算を詳しく行い、労働条件の改善と年収アップを同時に実現しました。
パターン2:福利厚生込みで実質年収100万円アップ
40代男性薬剤師・Dさんの事例
- 転職前: 中小薬局・年収600万円・福利厚生なし・有給取得5日
- 転職後: 大手薬局・年収650万円・確定拠出年金月2万円・有給完全取得
- 実質年収: 650万円+24万円(確定拠出年金)+48万円(有給価値)=722万円相当
年収としては50万円アップですが、福利厚生を含めると実質122万円のアップとなりました。
転職サイトを上手く使えば、こういう詳しい労働条件の比較もしてもらえるんだよね。

クロ

シロ
一人で計算するのは大変だから、プロに相談するのが一番確実だね!
転職成功のための具体的ステップ
- 現在の労働条件を正確に把握する
- 時給換算の計算
- 福利厚生の金銭価値算出
- 有給取得実績の確認
- 転職サイトで複数の選択肢を比較
- 条件面の詳細確認
- 職場見学での実態調査
- 在職薬剤師への聞き取り
- 総合的な判断基準を設定
- 実質時給の最低ライン
- 必須の福利厚生項目
- ワークライフバランスの優先度
よくある質問(FAQ)
Q1. 年収を時給換算するときの計算方法を教えてください
A1. 正確な時給計算には以下の要素を含める必要があります:
- 年間実労働時間の算出
- 年間勤務日数×1日の労働時間
- 残業時間(サービス残業含む)×12ヶ月
- 休日出勤がある場合はその時間も加算
- 時給の計算式
- 時給 = 年収 ÷ 年間実労働時間
例:年収600万円、週5日勤務(年間245日)、月15時間残業の場合
- 実労働時間:245日×8時間+15時間×12ヶ月=2,140時間
- 時給:600万円÷2,140時間=2,804円
Q2. 確定拠出年金がない職場と、どれくらい差がつきますか?
A2. 確定拠出年金の有無は長期的に大きな差を生みます:
- 月額拠出2万円の場合(年間24万円)
- 30年間の累計: 720万円+運用益
- 運用益3%想定: 約930万円の差
- 運用益5%想定: 約1,320万円の差
40代で転職する場合、退職までの20年間でも約600万円以上の差がつく可能性があります。月2万円という金額は小さく見えますが、長期的には非常に大きな差となるため、転職時の重要な判断材料となります。
Q3. 有給休暇が取りにくい職場の見分け方は?
A3. 面接や職場見学で以下の点を確認しましょう:
確認すべきポイント
- 昨年度の薬剤師の平均有給取得日数
- 有給取得のための申請プロセス
- 繁忙期の有給取得可否
- 代替要員の確保体制
危険な兆候
- 「忙しいから有給は難しい」という発言
- 薬剤師数ギリギリの人員配置
- 管理薬剤師が有給を取っていない
薬剤師白書によると、有給が取りにくい理由の66.0%は「薬剤師数不足」です。十分な人員配置がされているかが最重要ポイントです。
Q4. 地方と都市部、実質的にはどちらが得ですか?
A4. 住居費と通勤時間を考慮すると、地方が有利な場合が多いです:
都市部(東京)のケース
- 年収:650万円
- 家賃:月12万円(年144万円)
- 通勤時間:片道1時間(年500時間)
地方のケース
- 年収:550万円
- 家賃:月6万円(年72万円)
- 通勤時間:片道20分(年167時間)
実質的な可処分所得は地方の方が高く、時間的余裕も大きいといえます。
Q5. 転職サイトではどんな情報を詳しく聞けばよいですか?
A5. 以下の項目は必ず詳細を確認しましょう:
労働条件関連
- 月平均残業時間(サービス残業の有無)
- 有給取得率と取得しやすさ
- 休日出勤の頻度
- 当直・オンコールの有無
福利厚生関連
- 確定拠出年金の拠出額
- 住宅手当・家賃補助の詳細
- 研修費用の会社負担範囲
- 健康診断・人間ドックの内容
職場環境関連
- 薬剤師の平均勤続年数
- 離職率
- 昇進・昇格の基準
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まとめ:薬剤師の転職は「実質時給」と「トータル待遇」で判断しよう
薬剤師の転職において年収だけで判断することの危険性と、正しい比較方法について詳しく解説してきました。
重要なポイントをまとめると:
- 時給換算による正確な労働条件把握
- 残業時間・休日出勤を含めた実労働時間での計算
- サービス残業の実態確認
- 「見えない給与」の定量的評価
- 確定拠出年金:年間24万円程度の価値(月2万円拠出の場合)
- 有給完全取得:年間48万円相当の価値
- 研修費用負担:年間9万円〜21万円の価値
- 職場別・地域別の特徴理解
- 薬剤師白書データに基づく現実的な比較
- 生活コストを含めた総合判断
結局のところ、年収の数字だけじゃなくて「どんな働き方でいくらもらえるか」が一番大事なんだよね。

クロ

シロ
そうだね!転職サイトのプロに相談すれば、こういう細かい計算も一緒にやってもらえるから安心だよ!
私自身も転職を経験して痛感したのは、数字に騙されずに実態を正しく把握することの重要性です。年収が50万円高くても、実質時給が低く、福利厚生が乏しい職場では長期的に大きな損失となります。
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