ユリ
ねえシロ、わたしも英語の医学文献読めるようになって、SNSや雑誌で情報発信している薬剤師みたいになりたい!!
うん、ユリならできるよ!
頑張ってカッコイイ薬剤師になろう
シロ
ユリ
・・・でもわたし、英語苦手だ、なんかいい方法ないかな?
うーん…(クロに聞いてみるかな)
シロ
目次
英語が苦手でも挫折しない薬剤師のための医学論文の読み方とは?
シロ
ユリが英語の医学論文を読みたいらしいんだけど、英語苦手みたいなんだ。なんかいい方法ないかな?
英語が苦手だけど、英語の医学論文を読みたいか…
クロ
シロ
やっぱそんな都合のいいものはないよね
あるよ、英語が苦手も挫折しない方法
クロ
まずは英語の医学論文を読むことに対する3つの誤解を解かなきゃね
クロ
シロ
3つの誤解?
そう、医学論文を読むことの重要性はわかっているんだけど挫折してしまう薬剤師が誤解していることなんだ。
クロ
3つの誤解
- 医学論文は全文読まなきゃいけないこと
- 医学論文は英語で読まなきゃいけないこと
- 医学論文は細かく批判的に読まなければいけないこと
最初のうちは医学論文のなかにどんなことが書いてあるか分かれば十分なんだ。つまり3つの誤解はこういうこと
クロ
英語が苦手でも挫折しない薬剤師のための医学論文の読み方
- 全文読む→ポイントのみ読む
- 英語で読む→Google翻訳などの機能を使う
- 批判的吟味→初心者はまずは内容を理解することを優先
実際に英語の医学論文を読んでみよう
まずは日々、医学論文を読むことを日常化するためにはこれくらいで十分だよ。というわけで実際に英語の医学文献を読んでみよう
クロ
Probiotics and Child Care Absence Due to Infections: A Randomized Controlled Trial.
OBJECTIVES:
The risk of infections is higher in children attending child care compared with children cared for at home. This study examined the effect of a combination of probiotics on absence from child care because of respiratory and gastrointestinal infections in healthy infants aged 8 to 14 months at the time of enrollment in child care.METHODS:
The ProbiComp study was a randomized, double-blind, placebo-controlled study. A total of 290 infants were randomly allocated to receive a placebo or a combination of Bifidobacterium animalis subsp lactis and Lactobacillus rhamnosus in a dose of 109 colony-forming units of each daily for a 6-month intervention period. Absence from child care, occurrence of infant symptoms of illness, and doctor visits were registered by the parents using daily and weekly Web-based questionnaires.RESULTS:
Median absence from child care was 11 days (interquartile range: 6-16). Intention-to-treat analysis showed no difference between the probiotics and placebo groups (P = .19). Additionally, there was no difference in any of the secondary outcomes between groups; the number of children with doctor-diagnosed upper or lower respiratory tract infections, the number of doctor visits, antibiotic treatments, occurrence and duration of diarrhea, and days with common cold symptoms, fever, vomiting, or caregivers’ absence from work.CONCLUSIONS:
A daily administration of a combination of B animalis subsp lactis and L rhamnosus for 6 months did not reduce the number of days absent from child care in healthy infants at the time of enrollment in child care.Laursen, Rikke Pilmann, et al. “Probiotics and child care absence due to infections: a randomized controlled trial.” Pediatrics 140.2 (2017): e20170735.PMID:28674113
楽に読むコツ:①ポイントのみ読む
これは論文のアブストラクトと言って内容をギュッとしたやつなんだけど、慣れていない人たちからしたら、これだけで「もう嫌」って思うんじゃないかな
クロ
シロ
うん、僕もうお家に帰りたい
まずは論文の構成について知っておかなきゃね
クロ
それじゃ読むポイントだけど、本当に初めての人は①タイトル、②背景・目的、③結論の3つだけでいいよ。
クロ
POINT英語論文を読む初心者はまずはこれだけでOK
- タイトル
- 背景・目的(BACKGROUND、INTRODUCTION等)
- 結論(CONCLUSIONS)
楽に読むコツ:②Google翻訳などの機能を使う
じゃあ3つの読むポイントをGoogle翻訳してみよう
クロ
タイトルをGoogle翻訳してみよう
Probiotics and Child Care Absence Due to Infections: A Randomized Controlled Trial.
(感染症によるプロバイオティクスと育児欠席:無作為化対照試験)
少し翻訳がうまくいってないけど、無作為化試験で感染症による保育園を休むこととプロバイオティクスの関係を調べた論文みたいだね
クロ
シロ
完ぺきではないけど、内容はわかるね。
Google翻訳すごいね
そう、英語を完全に翻訳しなきゃいけないわけではなく、何が書いてあるか、何を言いたいかを理解することが重要だからね。そのためにはGoogle翻訳は利用することは全然悪いことじゃないよ
クロ
目的・背景をGoogle翻訳してみよう
The risk of infections is higher in children attending child care compared with children cared for at home. This study examined the effect of a combination of probiotics on absence from child care because of respiratory and gastrointestinal infections in healthy infants aged 8 to 14 months at the time of enrollment in child care.
(感染のリスクは、自宅で世話をする子供と比較して、育児に参加している子供の方が高くなります。この研究では、プロバイオティクスの組み合わせが、育児登録時の8〜14か月の健康な乳児の呼吸器感染症および胃腸感染症による育児不在に及ぼす影響を調べました。)
これはGoogle翻訳しても内容はわかるよね
クロ
結論をGoogle翻訳してみよう
A daily administration of a combination of B animalis subsp lactis and L rhamnosus for 6 months did not reduce the number of days absent from child care in healthy infants at the time of enrollment in child care.
(Bアニマリス亜種ラクチスとLラムノサスの組み合わせを6ヶ月間毎日投与しても、育児登録時の健康な乳児の育児休業日数は減らなかった。)
これもGoogle翻訳で問題なく理解できるよね
クロ
シロ
でもプロバイオティクスの名前はよくわからない
それは僕もだから安心して。これでこのプロバイオティクスって日本では何に入っているんだろう?とか疑問になれば次の学びにつながるから、それでいいんだよ
クロ
このお題論文の内容をまとめると・・・
じゃあシロ、この医学論文を内容をまとめてみよう
クロ
シロ
うーんと、保育園に行ってる子どもは感染症にかかる割合が高く休むから、プロバイオティクスでそれが防げないか試してみたが、効果はないみたいだ、こんな感じでいいかな?
うん、しっかりこの論文でいいたいところは理解できているよ。これを続けていけば、英語論文に対する苦手意識がなくなり、次のステップにいけるようになるからね
クロ
シロ
次のステップ?!
次のステップはアブストラクトをPICOでまとめてみるというのがあるんだけど、その解説はまた今度ね
クロ
さいごに
今回は英語が苦手な薬剤師のために挫折しない医学論文の読み方として、タイトル、背景、結論のみをGoogle翻訳することを紹介しました。
これだけなら英語が苦手な薬剤師の方でも英語の医学論文を読む習慣をもつことができるのではないでしょうか?
レベル1の読み方に慣れてきましたら、是非とも次のステップへと進んでみてください。
シロ
ふええ、まだまだ先は長いかな
周りで医学論文を読んでいる人がいると、早いんだけどね~
EBM Tokyoといった医学論文を読むワークショップとかやっていたりするので興味があったら参加してみるのもいいと思うよ。
薬剤師同士の人脈が広がり、市場価値を高めるのにも有利になるかもしれないよ。
クロ
シロ
ワークショップか。人見知りのユリには難しいかもしれない・・・
大丈夫だよ、みんな優しい人ばかりだからね。
あとインターネット上でも医学文献の抄読会やってたりするから、そういうのを聞いてみるのもいいかもしれないね
クロ